Ryuz's tech blog

FPGAなどの技術ブログ

(雑記) 技術者のスキルのお値段

なんとなく、駄文を書いてみます。

技術者という職業を突き詰めていくと、はその技術力を売ってその対価としてお賃金を頂く職業なわけです。

ただ見渡す限り、メンバーシップ型雇用が主体のわが国では、純粋な職業技術者として人を雇っているところはそれほど多くはなくて、多くのサラリーマン技術者はスキルを売って対価を得ているという感覚は持ちにくいようになっているような気はします。

私自身も25年ほどのエンジニア人生振り返ってみて、 技術以外を求められたことも沢山ありますし、どうしても「どうしたら技術力が上がるか」ではなく「どうすればもっと組織に貢献できるか」を問われ続けてきたように思います。

そうすると、自己の組織内での価値を高めるのに、技術力を上げるという以外の選択肢を取ってきた人の方が多かったように思いますし、実際そうしないと出世して給料を上げる事が出来ない仕組みになっていました。早い話が「技術は若い者が下働き的にやるものであって、偉くなったら管理職になるのがあたりまえ」的なやつですね。

また、もう一点、技術者がスキルアップに集中できない理由として、スキルと対価が必ずしも正しく比例しない点、があるように思います。

技術力はある意味でツールであって、ダメツールを使って神器をつくる事はできなくとも、高性能ツールを使ってゴミを作る ことは出来ちゃうからです。そしてどういうわけか、何を作るかを決定する権利が無いわりに、出来上がったものがゴミである理由がツールにも転嫁されがちです。

また、スキルの値段 というのがとても難しいように思います。これはエンジニアに限った話でもなく、例えばリンゴ農家さんが、「よりおいしいリンゴ」を作る努力をした場合、「おいしくないリンゴ」より「おいしいリンゴ」の方が高くは売れますが、「おいしいりんご」自体の市場の相場はリンゴ農家さんの農業技術のコントロールの外にあるからだと思います。

「おいしいりんご」自体の市場の相場を高めるには、ブランド戦略だったり、他商品やキャラクターとのコラボだったり、新しい健康食品の開発だったり、いろんな手があるとは思いますが、そこに労力を割いた分だけ、リンゴそのものを美味しくする労力が割けなくなります。

話を技術者に戻すと、結局技術者の給料は、その技術を使った最終製品の売り上げから回ってきています。 したがって、優秀な技術者を集めてもゴミばかり作ってしまう組織だらけの国、と、優秀な技術者を集めて価値の高いものを作れる国、では、自ずと技術者のスキルに対する相場が大きく変わってきます。

身もふたもない言い方をすると、技術者の能力が同じなら、その国の技術者の平均給与は、その国にどれだけ優秀な経営がなされている組織があるか で決まってくる可能性すらあるように思えてきます。

組織自体が巨大化/硬直化してくると、経営者だけ優秀な人間連れてきてもどうにもならないケースも多々知っておりますので、優秀な経営 を生み出すのはとても難しい事かとは思っております。

一方で、技術者がもしスキルを伸ばして生きていきたいと思うなら、どの組織に属するかを常に考えて判断するのは非常に重要に思います。

私も少し前にいよいよ転職をしたわけですが、このような考えも背景にあったという事で、思い返して、少し駄文を書いてみた次第です。